コーチングのスキルは、使い手次第で良くも悪くもなる
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電通の新入社員が、その年の12月25日に投身自殺したニュースを知って。
どこかに相談するとか、
会社を辞めるとか、
次の仕事を探すとか、
まったくそんな余裕がなかったのだろう。
「そんなもんだ」
の会社の中で、サポートがあるはずもなく、
自分の状況を中立に話す相手もなく、
そんな場を見つける暇もなく、
そんな場を紹介してくれる人も自分の人脈の中にはおらず、
自尊心と、
判断力を
無くしていったのだろう。
~~~~~~~
で、僕はコーチングで「アカウンタビリティ(主体性)」なんて語っている。
自死した新入社員は、
仕事は山のように降っては来たのだろうか、
主体性は無くしていなかったように思う。
主体的に取り組んでいなかったら、
「放り出して、まずは自分がいきる方法を本能的に探す」
はず。
それを考える間も与えないほど仕事から逃げられないようなマネジメントをしていたのかもしれないが。
少なくとも逃げなかったから、
有名大学に入学・卒業し、
有名企業に就職できた。
仕事をはじめても、
「逃げる」
という選択肢はもともとなかったのじゃないだろうか。
そんな気持ちが出てきても、
「弱気になるな自分!」
「逃げるな自分!」
と叱咤してきたのだろう。
だから逃げるとしたら、
正月休みに入って、
自死するしかないと思ったのだろう。
~~~~~~~
コーチングって、スキル・技術だけを使ったら、
ここまで追い込むことができる。
「それはコーチングではない」
否定する人はいるだろうけれど、
コーチングを構成するスキル・技術は、
「責任を取らせる」ように、
追い込む方面にも使える。
スキル・技術は、
ニュートラルなもので、
良いものでも悪いものでもない。
今回のように「主体性」だけでも、
ニュートラルで、
良いものでも悪いものでもない。
電通も、
会社の立ち上げ時、会社の成長時には、
「多少無理でもやろう」という心意気と、
「もう無理だ、私は離れる」という自由があったのだろうと思う。
時間が経つと、
「表層的な行動」が『文化』として引き継がれ、強化されていく。
「俺たちはこれでやってきた」
というエビデンス(証拠)をつけて。
~~~~~~~
僕は、コーチングの技術を伝えるならば、
その人の心の根っこを一緒に見つめることをしないといけないし、
心の根っこが安定するまで付き合う責任があると思う。
コーチングではよく
「自己責任」
といわれるし、
心の根っこの、たとえば「弱気になる部分」を「ファウンデーションが整っていない」などということがある。
性善説はいいし、
僕も人は性善説でいいと思っている。
けれど後天的に、
しつけ、
学校でのいじめや人間関係での学び、
社会に出てのいじめや人間関係での学び、
「社風」「空気」という圧力で、
拗ねたり、
ひねくれた物の見方しかできなかったり、
周りを敵と思うようなこともあるだろうし、
「本心は出さないもの」
と勝手に結論付けていることもまた多いのじゃないかと思う。
だから、スキル・技術だけ教えると、
「人を操る技術」
となる。
相手が冷静に考えようとしたら、
「主体性・積極性がない」
と否定してやれば、こっちの土俵に戻ってくる。
人の心をもてあそぶ技術にもなる。
催眠術をかけるとか、
幻覚剤をのませるとか
とてつもない技術を使ったり、
法律違反を犯さなくても
人の心の仕組みを知っていれば
かなりのことができる。
自分から「自己責任で」暴走していってくれることもできる。
~~~~~~~
だから僕は、コーチングの技術を伝えるならば、
その人の心の根っこを一緒に見つめることをしないといけないし、
心の根っこが安定するまで付き合いたい、
と思っている。
「コーチングは目標達成」
ってかっこいいんだけどね。
コーチングは本来、今回の電通の新入社員のような場合は、
少なくとも面談の時間は
冷静になるように、
まず深呼吸をして、
弱音を吐ける場をにして、
「コーチングをしない」ことだ。
僕はね。
ここまで考えても、
僕にとって、やはりコーチングは大切なもの。
この大切に思う気持ちと
伝えなきゃならないことを
しっかりとお伝えしていきたいのだ。
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