Vol. 7 [お稽古事は大人の嗜み]
公開日:
:
Core Infinity 通信
若狭 喜弘(Yoshi)です。
3週間ぶりのご無沙汰です。いかがお過ごしでしたでしょうか?
では、今号のテーマへ。
【お稽古事は大人の嗜み】
仕事のコーチングや対話の話とはどんどん離れていっていますね。
「大丈夫?」と自分に問いかけつつ、今回のテーマに参ります。
いきなりですが、「お稽古事」は何かされていますか?
最近読んだ本からのお話です。
昔は、
昔と言っても、1960年代の始めごろまで、日本の会社の重役の方々は三種
くらいの「お稽古事を嗜んで」おられたそうですね。
植木等さんの歌に「ゴルフに小唄に碁の相手」(無責任一代男)とありま
したね。
(と言っても、私はまだ生まれていませんが。)
上役に取り入るためとはいえ、その上役自体がこれらを嗜んでいたという
ことですよね。
「嗜む」ということは、本番で上手にするために、お稽古を積んでいたと
いう訳で、「重役の方々」といわれる人たちの見方が少し変わりました。
先に本の種明かしをしておきます。
邪悪なものの鎮め方 (木星叢書)
内田 樹 (著)
価格: ¥ 1,680
出版社: バジリコ (2010/1/23)
この本の「失敗の効用(P186~)」からの引用です。
でも、『なぜそんな七面倒臭いことをされていたのでしょうか?』
この本を読むまでは、そんなことを考えたこともありませんでした。
てっきり、「接待のため」「取り込むため」と思っていました。
でも、よく考えると、接待ということは、相手が好きなことでないと接待
になりませんね。
では、『なぜ、それが好きなのでしょうか?』
本にはこのように書かれています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
われわれは年に一度この舞囃子の舞台というものがあって、そのストレス
で意に穴があくような思いを一年中している(ストレスが消えるのは本番の
後の一週間ほどだけである)。そのストレスがあまりに苦しいので、その他
のストレスフルな出来事が(よく考えたらたくさんある)どれも「舞囃子の
苦しみに比べたら、屁のカッパ」に思えてしまうのである。
舞台上で道順がわかなくなったときの絶望感に比べたら、講演で絶句する
ことなど冗談のようなものである。
(中略)
しかも、これだけストレスフルな経験でありながら、舞台上でどのような
失敗をしようと恥をかこうと、それは私どもの実生活には何の関係もないの
である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
でも、『それでも何で?』ですよね。
それは何かと尋ねたら、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それは「本務」ですぐれたパフォーマンスを上げるためには、「本務でな
いところで、失敗を重ね、叱責され、自分の未熟を骨身にしみるまで味わう
経験」を積むことがきわめて有用だからということが知られていたからであ
る。
本業以外のところでは、どれほどカラフルな失敗をしても、誰も何も咎め
ない。そして、まことに玄妙なことであるが、私たちが「失敗する」という
場合、それは事業に失敗する場合も、研究に失敗する場合も、結婚生活に失
敗する場合も、「失敗するパターン」には同一性がある、ということである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
結論です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
素人がお稽古することの目的は、驚かれるかもしれないが、その技芸その
ものに上達することではない。
私たち「素人」がお稽古事において目指している「できるだけ多彩で多様
な失敗を経験することを通じて、おのれの未熟と不能さの構造について学ぶ」
ことである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いかがですか?
身震いしちゃいました。
私も落語のお稽古に通わせていただいています。
当然ですが、決してプロの方のようにはうまくいきません。
工夫してうまくやっているつもりでも、
あるとき、思いついて家にあるビデオカメラで録画して見直したら、穴が
あったら入りたい心境になりました。
やるのも地獄、自分で見るのも地獄、しいては教えるのも地獄
そこまで言いたかないですが。
でも謙虚になれます。
この言い方が謙虚かどうかは別にして。
この最近の体験と、本を読んで、師匠方に感謝の気持ちがさらに沸いてき
ました。
もっとも、これは、重役の方々だけの話ではありません。
「本番」がある誰もが経験した方がいいことですね。
それも、ゆるい「趣味」ではなく、厳しい師匠やトレーナーにみっちりし
ごいてもらう「お稽古」で。
さて、新学期、新年度が始まった四月です。
あなたはどのようなお稽古を始めますか?
※仕事の話を少し
コーチングも似たような面があります。
「クライアントの考え、能力を引き出す」
のがコーチングです。
今後の行動について、きちんとコミットメント(納得と約束)していただ
きます。
そして、本人が楽にできるレベルを超えた行動をリクエストします。
やるといったことはきちんとやり遂げるからこそ、責任ある立場にいらっ
しゃる訳です。
もっとも、コーチングでは「失敗しても実生活には関係ない」ということ
はないですね。
それが、お稽古事との違いですね。
そうそう、お稽古事でも「失敗」は本番のことで、お稽古のときにはそれ
はそれは厳しく指摘されます。言い訳は厳禁です。
若狭 喜弘(Yoshi)
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京都チャプター副代表 井上 泰世氏
□日 時□ 2010年5月23日(日)
□場 所□ ウィングス京都
□参加費□ 会員2,000円 一般3,000円
(料金を間違って案内していました。訂正します。)
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講師 (財)生涯学習開発財団認定コーチ
京都チャプター運営メンバー 高橋 美佐氏
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□場 所□ 京都市内
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基本は、滋賀県、京都府近郊ですが、お呼びがあればどこまでも。
もちろん、無料です。かなり遠方の場合は、交通費をお願いします。
次回から料金をいただきますので、ご安心を。
「IT」の話でも、「ブランド化」の話でも、「社内の困ったこと」の話でも、
「社内の嬉しい話」でも、「お客様とのコミュニケーション」の話でも。
お話させていただく中で、私との共催イベントなどアイディアが広がるかも。
インタヴューを受けるつもりで、お話しください。
基本として、『秘密』は絶対に守ります。
以上、本メールの返信でお知らせください。
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