Vol. 100　[コーチングについて質問を受けて～コーチは、「絶対に」答えを教えてはいけないんですか？～］

公開日： 2016/11/18 : Core Infinity 通信

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　　Core Infinity 通信【Vol. 100】　　　2016/11/18
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　リフレクション・コーチングの若狭喜弘（Yoshi：よし）です。
　『Core Infinity 通信』を引き続きご購読いただきましてありがとうござい
ます。

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　栄えある100号です。
　ですが、読者プレゼントは用意していません。気づいていたんですけど。
　希望のものがあればお知らせください。鋭意努力します。

【コーチングについて質問を受けて
　～コーチは、「絶対に」提案してはいけないんですか？～】

　ありがたいことに、日本コーチ協会京都チャプターの役員をしていると、
コーチングについて質問を受けます。
　セミナーの主要テーマではないので、その月の例会では答えは得られないけれど、

　その方が「どうしたらいいんだろう？」と判断に迷う、
　日常の疑問を問いかけていただいています。

　とてもうれしいことです。

　信頼していただいていて
　その上、、
　「必要としているものを何かしら得られる」
　と思っていただいている、ということですから。

～～～～～～～～～

　一方で、僕にとっても利点はあります。
　というか、利点のみです。

　　・「信頼しいる」という承認
　　・自分が気付かない視点を教えてもらえる
　　・自分が通り過ぎて忘れてしまった、大事な問いを思い出させてくれる
　　・質問に答えることで、自分の中を整理できる。
　　・「これは答えと思うことを伝えたほうがいいか」
　　　を考えさせてもらえる。

　人によるところはありますが、
　京都チャプター例会（勉強会、練習会）に来られる方は、
　1回でも参加されたら、

　　　「クライアントを信じて答えを出す手伝いをする」

　という原則を理解して帰られます。

　だから、コーチングのセッションで答えを求めても、
　まずは自分の中にあるものを探したり、
　火事場の馬鹿力で、普段の自分なら思いつかないことに気づくように
　話を辛抱強くコーチが聞くことを知っています。

　それをわかった上でのコーチへの質問ですから、
　「知識や経験があるコーチに聞くしかない」
　となったのでしょうから、
　あくまでも僕自身の見解となりますが、答えます。
　誰も僕には一般的な答えは求めていませんからね。

　場合によっては、「教科書的な答えを思い出してもらう」方がいい場合は、
　「ですよね」と笑顔でそのまま差し戻す時もあります。

　表面的な言葉をお互いに繰り返しているうちに
　本質に気づけばいいのですが
　短期で必要な答えと、長期にわたって求める答えがあります。

　短期的には、ヒントだけでもあれば大きく進展します。
　だから、自分の理解の範囲で伝えます。
　質問してきた人の見ていない視点からのもの、
　より大きな視点からのものを心がけています。

～～～～～～～～～

　日本人は、答えを言わないで考えさせるコミュニケーションに慣れているので、自分で考えてもらいやすいので楽な面があります。

　けれど、日本人の「答えを言わないコミュニケーション」は、

　　　「自分から言わないでこちらの立場を想像、理解、遠慮させ、
　　　　その結果の行動をさせる」

　という「空気を読むコミュニケーション」となることが多く、コーチングとはまったく逆です。

　　　●日本人型コミュニケーションは「答えは、相手の中にある」

　　　●コーチング型コミュニケーションは「答えは、自分の中にある」

　その反動か、

　　　●見栄えがそれなりの、それっぽい答えが1つ得られたらそれでいい。

　というコミュニケーションも「日本人型」にはあるので注意が必要です。

～～～～～～～～～

　いただいた質問の一つにここで回答します。

　質問：見ていて、その人には私が思い浮かぶこの答えしかないのに、
　　　　その人は全然気づかない。
　　　　コーチングでは「教えない」というのはよく知っているけれども、
　　　　こんな場合でも、教えてはいけないのでしょうか？

　質問を聞いて、「教えたく」なりました。

　その場で答えたのは、・・・・

－－－－－
　コーチの段階にも「守破離」というのがある。
　選択肢の一つを提案して
　それを「呼び水」に、その人のアイディアを引き出すことはある。

　もちろん、提案するときには、
　「選択肢のアイディアとして一つ思い浮かんだことがあるのですが、お伝えしていいですか？」
　と、相手の了解を得てから行う。

　で、「守破離」を意識したら、
　『守』コーチング初心者の時期は、「提案」はしてはいけない。
　クライアントのゴールを常に頭に置き、自分が思っているゴールがクライアントの考えているゴールか何度もチェックしながら、
　ひたすら聴き、クライアントの感情のポイントを質問で問い、口調などから感じ取ったことと言葉とのギャップを伝える。

　『破』コーチング中級者は、「提案」を1回くらいする。
　でも、提案するよりは、感じ取ったクライアントの話や感情の核心を伝えるほうが、クライアントの目的に適うとわかっている。

　『離』コーチングの上級者は、コーチングを意識させない。
　いわば、「普通の会話」。
　でも「普通の会話」なんだけれども、クライアントは気づいたら自分のことを深く考えて話している。
　「破」までの段階のような、コーチングのゴールは設定しない。
　クライアントを「クライアント（自分の人生の実行責任者という自覚を持つ人）」に、気づかない間にしている。

－－－－－
　で、最初に確認しとかなきゃいけないのは、以下のようなものがあります。
　（クライアントに直接聞けばいいものも、聞けないものもあります）

　　　・クライアントが求めているのはコーチングか？
　　　・クライアントのテーマにはコーチングが適しているか？
　　　・クライアントの、本当の目的は何なのか？
　　　　（クライアントが、人生の主人公として生きる道は何なのか？
　　　　　現在、一致しているかの？）
　　　・クライアントの目的を、クライアント本人が自覚しているか？
　　　・コーチとして、クライアントに短期に必要な答えを与えるので良いのか？
　　　　今後長期にわたって、自分で答えを見つけるための準備を促す必要はないのか？
　　　・その練習の場として、今回のテーマを使えないのか？
　　　・クライアントは、依存していないか？答えを伝えることで依存関係にならないか？
　　　・本人が納得の上で捨てた選択肢を、改めて教えようとしていないか？

－－－－－
　一番最初に戻るけれど、

　　『コーチングとは、クライアントが自分の人生に主体的に
　　　取り組むように自信を持たせ目標を明確にするサポート法。
　　　主体的に取り組んでも課題が発生してくるので、
　　　それを乗り越えるための方法を考える場。

　　　そのためには、クライアントが「主体的に生きたい」と思って
　　　コーチの前に座っていることがスタート』

　つまり、コーチをコーチングのコーチとして認めて前に座ることが最初。

　だから、コーチングを知らない人には、
　自分の内面を話すことは強要せず、
　自分の中にアクセスして、発見、喜び、忘れていた大事なことを思い出してもらう時間にすることが先決。

　（語ることで、心の中の整理が進むのは誰にでも起こることだが、
　　しつけや人生経験から語ることに抵抗を覚える人もまた多い。
　　話すことを強要しないほうが効果が高い。
　　聞きたいと思うのは、コーチのエゴ。）

　そして、コーチは、コーチであることからブレてはいけない。
　（『離』のレベルでは、自在に逸脱していきますが・・・）

－－－－－
　（ココまで）

　ということを話したかったのですが、
　ほかの質問もある中、休憩時間10分では答えきれませんでした。

　僕が答えるというよりも、
　問いを持ち寄っていただいて、一緒に考えませんか？

　だから、質問は大歓迎です。

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　若狭喜弘（Yoshi）

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