「自分の言葉では、まだ語れない」というしかない体験
公開日:
:
et cetera-life, 子供達の学ぶ心
「山村留学」についての連載記事。
教育って、
「知らないことを知った」
「覚えた」
というものだけではない。
そういう分野の
受験勉強だったり、勉強が遅れている子の塾は、
目的がわかりやすくていい。
生徒にとっても親にとっても。
でも、記事にあるように、
「自分の言葉では、まだ語れない」
という体験を提供するのも、学校や塾。
だからといって、イベント的にキャンプや映画に連れ出すのも違う。
日常生活にするのが大事。
大人も子供も、周りに合わせて適当にふるまって、体面を保てるのはせいぜい1週間くらいか。
それくらいなら、我慢ができる。
でも、それからさらにずっと、日常になり、
その環境で生きていくには、
覚悟も必要だし、
自分の心の内を知り、
吐き出して、
自然や大人や友達などいろいろなものに向き合わなければならない。
誤解して、決めつけてしまうこともあるけれど、
決めつけてしまったことを溶かしていくのも自分の役目だと気づく。
その経験は、一言では言えない。
ありがちな言葉では表現できないと思う。
それは、その環境から離れた後で振り返ると、
気づくこともいっぱいあるし、
いくつになっても次々と気づきが生まれてくる。
だから、ますます言葉にできない。
教育は、こういうものを提供しなきゃいけないと思うし、
少なくとも僕は、ロボット教室の中でこのような体験をしてもらいたいと思っている。
その時、先生の側ですべて設計しても、その通りにいくはずがない。
あらゆる可能性を考えて、
緩やかなセーフティネットを張っておくくらい。
だって、子供たちは危ないことをするものだし、
予想を裏切るくらいに
「それはすごいね」
と感想を言うしかないことを仕上げてくることもある。
絶対に危険なことはやめるようお願いして境界を示したうえで、
できるだけ能力や発想の制限をしない振る舞いを心がけるだけ。
だから、基本的なことを教えることはあっても、そんなに教えることはない。
大人も子供も、
間違ったところを指摘されてうれしく思うことはほとんどない。
「手間が減った」
「失敗しないように教えてくれ」
と、依存心を強めたり、手間を嫌うだけになる。
そこに『学び』はない。
最初に記した「気づき」は、『学び』の前段階。
「気づき」から『学び』にするのを、
慣れないうちにサポートするのが大人の役目。
でも、大人が急かすと、はかなく壊れてしまう。
難しい。
けれど、
「まだあの体験を消化しきれていない」
そんな思いを持ったことを敬意を持って眺め、
大切に見守りたい。
関連記事
-
-
名も技も絶えていく けれど
> 名をのこさなくてもいい。「ぼうず、いい手をもて」 > いせひでこ (折々のことば 選・鷲田
-
-
医師「で、どうされますか?」
とても個人的な話だが・・・・・。 最近、針式の腕時計の日付の数字が読みにくかったり、 手帳にメモ
-
-
ロボット教室の生徒諸君 その5
ロボット家政婦さんで思いだしたネタ。 こんなのがありました。 ロボ子ちゃんオーバーケア あ
-
-
「元旦の神社は大変だったという話」
元旦の神社は大変だったという話(デイリーポータルZ) より 記事を読んで、ある神社の宮司を
-
-
子供たちや動物は、人の大人を調教している
> われわれはいかに子供たちによって、いかに動物たちによって教育されることであろう! > マルティ
-
-
学校で、書類を増やすより、授業内容をワクワクしながら変えていくには
> 今の改革は大学にアリバイづくりの大量の文書作成を促すだけで、肝心の授業内容はあまり改善されていな
-
-
手帳の話-2017年版
2017年使用予定の手帳 【2016年12月始まり】 hands+ダイアリー B6 バ
-
-
「四十にして惑わず」から「四十になったら、できた限界を越えよ」へ
『プロに論語 第2回 イントロ・その2 http://www.mishimaga.com/pro
-
-
生徒がインターネットで調べて、「あれ?」 「単純に信じちゃいけないぞ」 と思ってくれれば本望です。
先月末の原稿のために勉強したこと 尿素結晶の結合方法、結晶結合の種類、ミョウバンの化学式と
PREV :
代わりのない店、代わりのいない客
NEXT :
誰にも、親を介護する、親を送る権利がある