橋下市長の慰安婦関係の発言を題材に
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最終更新日:2013/05/20
et cetera-opinion
今回の橋下徹 大阪市長の発言に対する様々な反論に、「あほらしいなあ」と感じました。
橋下市長の発言はコチラ。
橋下氏慰安婦発言:記者団との一問一答(要旨)
http://mainichi.jp/select/news/20130514k0000m040097000c.html
(毎日.JP より)
最初に記しておかないといけないですね。
『反論に「あほらしいなあ」』と感じた一番大切な点は、
「事実と価値判断と倫理」をごっちゃにして扱っている
ということです。
「反論している人」の反論の仕方について、少々呆れました。
こんな議論をしていたら、「反論している人」が大切に考えている「被害者を救う」ことさえできません。
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という意味で、「事実」と「価値判断」と「倫理」を分けるトレーニングとして、この題材を使いましょう。
なお、すべてについて、裏付けとなる情報を確認していません。
「論理的に考えたらこうなる」ということを記します。
お分かり頂けると思いますが、「戦争はいけない。不幸になる人を大量に作り出す」という気持ちにブレはありません。
●「侵略」に学術上きちんとした定義がない
・「事実」 :学術上の定義がないことは事実でしょう。私は確認をとっていません。攻め入って負けた場合は「侵略」と言われます。ただし、池澤夏樹さんのおっしゃる「他国の領土に軍を送ることが侵略である」は、一般的認知として正しいでしょう。でも学術的に採用されているかどうかわかりません。
・「価値判断」:今でもいろいろな立場の発言をする人がいます。当時の宣伝や建前は別にして、「あれは侵略だった」そう判断できます。
・「倫理」 :「侵略すべきではない」その通りだけれど、今はそのことを議論していない。
●従軍慰安婦問題も、意に反してそういう職業に就いたということであれば配慮しなければいけない
・「事実」 :望んで従軍した人もいるでしょう。一方で、証言から騙されて、もしくは人さらいのように連れて行かれた人もいるでしょう。橋下氏の発言には、これを否定していません。
・「価値判断」:どの話者も、「従軍慰安婦」について、自分の価値判断に合っている面からだけ話しています。
・「倫理」 :「従軍慰安婦はあるべきではない」。戦争は必ず「従軍慰安婦」を求める精神状態にしてしまうのであれば、戦争してはいけない、とは言えるが、今はそのことを議論していない。
●慰安婦制度は世界各国の軍が活用した
・「事実」 :私は確認を取っていません。ですが、戦争は必ず「従軍慰安婦」を求める精神状態にしてしまうのでしょうから、橋下氏の発言は事実でしょう。
・「価値判断」:「公的に整備していなくても、実際の運用上はあった」と考えるのが素直です。それに対して好き嫌いで判断したり、倫理で反論されます。
・「倫理」 :「慰安婦制度が軍にあってはならない」その通りだけれど、今はそのことを議論していない。
●軍や政府が国を挙げて慰安婦を暴行脅迫拉致したという証拠がない
・「事実」 :「公的な指示命令書」という証拠がまだ見つかっていないのは事実でしょう。ただし、機密情報など「後日証拠として発見されたら問題があるもの」は書類にしませんし、真っ先に処分します。さらに、「暴行脅迫拉致」の命令を書類に起こすことは考えられないでしょう。
・「価値判断」:「すべての慰安婦は、暴行脅迫拉致された」。世の中すべての人が、まったく同じ価値観で判断していることはありません。ただし、「誤解させるような勧誘」はあったかもしれません。
・「倫理」 :「軍や政府が国を挙げて慰安婦を暴行脅迫拉致してはいけない」その通りだけれど、今はそのことを議論していない。ただし、「誤解させるような勧誘」はあったかもしれません。
●生死の境で精神的に高ぶっている集団に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要
・「事実」 :心理学的にも、脳科学的にも、正しいでしょう。そうでないと、心が壊れていきます。私は確認を取っていません。ですが、落ち着かせるために、「慰安婦制度」や「薬物」の利用は必要でしょう。そうでなければ、戊辰戦争を例に挙げるまでもなく、対戦相手の地域の女性へのレイプが起こります。
・「価値判断」:「日本軍人はそんなことを望むはずがない」。そう思うのは自由ですが、日本の歴史を見ても、起こったのは事実です。もちろん、世界のどの国も同じです。
・「倫理」 :「軍人は常に冷静沈着でなければならない」「軍人は慰安婦を求めてはいけない」。今はそのことを議論していない。
●今は慰安婦制度は認められない
・「事実」 :これは橋下氏の主張。
・「価値判断」:「慰安婦制度は認められない」。意見は一致しています。
・「倫理」 :「慰安婦制度は認められない」。意見は一致しています。世界的な世論でも、認められないでしょう。
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以上のように、橋下氏の発言に「事実」としては間違いはありません。
ただし、秦郁彦さんの意見のように、「専門家から問題となっている点を聞き、慎重にきちんと説明しないといけない」と思います。
(<橋下氏慰安婦発言>「女性への冒とくだ」…市民団体も反発 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130514-00000001-mai-soci&1368462155 より)
さらに、議論する際には、橋下氏は「事実」と「意見」をそれなりに分けて発言されています。
反論するのであれば、
「事実への反論の仕方」
「意見への反論の仕方」
をよく考えてから行いたいたいものです。
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