「五輪開催5つのメリット」を考える
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まず、
「五輪開催のメリット」と「五輪憲章」
この2つを混同してはいけない。
「五輪憲章」は、
・五輪を開催・参加する目的
・五輪を開催・参加するために行うべきことや心得
・五輪を開催・参加するための個人や組織、都市の前提条件
です。
常にこれらの基本理念に沿って、問題発生時には早急に対処するのは基本。
「五輪憲章を実現しているのが前提」となる。
だから、「五輪憲章を実現するのが目的」ではない。
~~~~~~~
一方、
「五輪開催のメリット」は、
・五輪開催都市が得られるメリット
(「都市」であって、「国」ではない)
なので、「五輪憲章」とは全く別の話。
もっとも、
五輪を開催するにあたって、
・「五輪憲章」の中の「開催都市」の未達成部を自己分析し、
到達する目標やきっかけにするため
・課題を「世界」に広く啓発する機会とするため
という意図は、含まれてないといけないし、
それを実現するための具体的行動も含まれていないといけない。
世界記録を更新するトップアスリートを集めて競わせたら、
なんとなく
「すごい人がいるものだと感嘆して」
「平和な気分になって」
「自国の選手の成績に一喜一憂している間に」
「五輪憲章」が実現する
なんてことはない。
~~~~~~~
NHKのテロップ 「五輪開催5つのメリット」を読んで感じたこと。
『まるで、ギャンブルで一発逆転を狙う人のようだ』
それら「五輪開催5つのメリット」に
お金を出す地元の人が同意しているかが関心事。
そして、地元の人が五輪開催都市になって、
そんなメリットを得なきゃならないほど、
財布の中身も考えも貧しいのかなあ。
~~~~~~~
立候補して引き受けたからには、
メリットがないとやる意味がないし、
約束通りに開催した方がよいとは思うが、
「一発逆転」の発想の臭いがするものは
すべてやめちゃえばどうだろうか?
(そうじゃないものは絶対にある!!)
ギャンブルで儲かるのは、胴元だけだから。
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[参考資料 1]
いわゆる「五輪憲章」は、
オリンピック憲章
http://www.joc.or.jp/olympism/charter/
の中の、
「オリンピズムの根本原則」
の中の
2. オリンピズムの目的は、 人間の尊厳の保持に重きを置く
平和な社会を奨励することを目指し、スポーツを人類の
調和の取れた発展に役立てることにある。
6. このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、
肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的または
その他の意見、 国あるいは社会のルーツ、 財産、
出自やその他の身分などの理由による、 いかなる種類の
差別も受けることなく、 確実に享受されなければなら
ない。
あたりを指すことが多い。
~~~~~~~
[参考資料 2]
NHKのテロップ 「五輪開催5つのメリット」
1.国威発揚
2.国際的存在感
3.経済効果
4.都市開発
5.スポーツ文化の定着
NHKおはよう日本が今朝解説した「五輪開催5つのメリット」。「①国威発揚」「②国際的存在感」…。五輪憲章の説く「オリンピズムの根本原則」平和、人権、差別撤廃は…もはや眼中にない「民族の祭典」。 pic.twitter.com/rBJUWm6gWp
— 小張 學 (@manauwf) 2016年8月20日
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